夏が過ぎた渓流

8月27日(土) 阿賀野川水系の小渓流

 

 朝の空気が少しヒンヤリ感じる。

そろそろメジロアブの勢力も衰えた頃だろう。

 

 阿賀野川の土手から見る水田は今まで一様に濃い緑となっていたけれど、稲の品種の違いにより穂の出方が違っているせいで、区画毎に黄色味の入った様々なトーンの緑になっていた。

もう秋がすぐそこまで来ている。

 

 今日はただ清らかな流れに身を置きたい。

水量が安定していて、多様な植物の密度が濃い渓に向かう。

 大きく深呼吸。

山の匂いが濃い。体のこわばりがため息と一緒に少し抜ける。

 

 昨夜小雨が降ったのだろうか、水温が低く10時なのに渓にはまだ朝霧が残っていた。

 

そこにフライを落とせば、無垢な岩魚が飛びついてくるのは分っている。

でも、今日は無駄に彼らを傷付ける気になれなかった。

ただ、ゆっくりと渓の雰囲気を楽しみながら一歩一歩進む。

 

 この渓にしては大きな開きが現れた。

ここで一匹くらい私の相手になってもらおう。

あえて、大きな#10エルクヘアカディスを結ぶ。

一投目から核心部へフライを落とした。

思ったところでフライが吸い込まれる。

やっぱりな。 あえてアワセを入れずに岩魚がフライを吐き出すの待った。

 

 こんな環境がずっと続くことを願う。

 渓よ、では、また来年まで。