盛夏のツーリング、そして魅惑の渓

8月11日(火)~8月12日(水)

秋山郷~雑魚川渓谷

 

 今年は梅雨らしく7月の週末はほとんど晴の予報がなかった。

そのため、予定していたツーリングが全く実行できていない。

やっと梅雨明けしたと思ったら、もうお盆休みだ。

さすがに天気予報は晴マークが続いている。

今こそ行くしかない!

 

 今回のツーリング計画は次の通りとした。(8月9日時点)

①自宅(新潟市)から海岸線をひた走り柏崎市へ。

柏崎市から国道353号で、上越市十日町市の山々を縫って南下し津南町へ。

津南町 釜川の上流「田代の七ツ釜」(渓谷)へ。

秋山郷(国道405号)に入り、中津川及びその支流を探索しながら遡る。

⑤イブニングで尺岩魚を釣り上げ、上機嫌で温泉に入ってからの生ビール。

2日目は本番。

秋山郷(国道405号)終点から長野県志賀方面に抜ける雑魚川林道を走り、雑魚川渓谷を目指す。

という計画である。

 秋山郷の終点(切明温泉)までは過去数回行ったことがあるが、その先の雑魚川林道は初めてとなる。

乗用車ではいつもこの林道入口で躊躇してしまっていたからだ。

 

 この「雑魚川」という名、岩魚が雑魚のように沢山泳いでいる由縁であろうか。

はたまた、本当に雑魚しかいないのか?

何れにしろ、この名に魅かれて訪れる釣り人は私だけではないはづだ。

 

 (ここまでは事前に下書きしておいたもの。以下は結果報告です)

 

 今回は釣りが絡むので単独でのツーリングとなる。

なんの制約の無い気ままな旅。

あえて雑魚川の釣りに関する情報については下調べをしないで出発するとする。

山奥でシルクロードのエンジンが止まってしまう事だけがちょっと心配だ。

「頼むよ!シルクロード。」 心の中で声をかけてエンジン始動。

いざ、出発!

 

①自宅(新潟市)から海岸線をひた走り柏崎市へ。f:id:kazemoriharumiti:20200813130958j:plain

出雲崎付近

  早朝の海岸。

今日は砂浜も灼熱だな。

コロナのせいか、浜茶屋の駐車場に停まっている車が少ない。

快調に海岸線を走り、柏崎を通過。

 

柏崎市から国道353号で、上越市十日町市の山々を縫って南下し津南町

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国道353号 十日町の山々

 国道だというのにセンターラインもない林道の様な道路。

人も車もいない。

登りは2速か3速、下りは3速か4速でゆっくりとしたシルクロードのペースで景色を楽しむ。

 

津南町 釜川の上流「田代の七ツ釜」(渓谷)へ。

 津南町の国道の温度計は37℃を表示している。

走っていればそれほどではないが、信号待ちは地獄。

国道から釜川沿いの県道284号に入り、田園風景を見ながら上流へ。

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津南町 清津川支流の釜川。上流の田代の七ツ釜へ向かう

下流では鮎師がちらほら。

徐々に川幅は細くなり、渓流っぽくなってきた。

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田代の七ツ釜(七つの釜の内の一つ)

駐車場にバイクを置いて徒歩で川まで歩く。

観光地であるはずなのに人気が無い。

きっと皆さんは近くの有名観光スポット清津峡の方に行っているのだろうか。

 

 釣りをする方なら理解していただけると思うが、この様な景色を前にしても先ず目がいくのは魚の付き場を観察する事。

崖の様子は後からである。

ここかなと思ったポイントを少し見ていたら、水面にギラッと光る魚体と水しぶきが!

この遊歩道から確認できる程のいいサイズだ。

人気も無いし、釣り禁止でもなさそうであるが、流石にここでロッドを振る訳には行かない。

ここに来るまでに入渓出来そうな場所が有った。

しばし迷ったが今回のメインは秋山郷なので、ここで時間を使わないことにした。

 

 バイクにまたがり、一旦来た道を戻る。

途中「外の沢砂防ダム」の看板が目に留まりちょっと寄り道。

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外の沢砂防ダム

なかなか良い渓流である。

釣り人らしきジムニーが停めてある。ここも機会があったらやってみたいと思える場所であった。

 

秋山郷(国道405号)に入り、中津川及びその支流を探索しながら遡る。

 今日は中津川本流で釣りをするつもりはなく、支流を探索し、良さそうな所を見つけて魚の様子を見たかった。しかし、どこも沢程度の細く段差がある流ればかりだ。

ちょっと厳しい。

どうしようか迷いながら走っているうちに「苗場山登山口→」の標識が目に入り、ちょっと行って見ることに。

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苗場山に向かう上野原林道。

途中、1800m級の山々が見渡せる。

下界の灼熱が嘘のように爽快。

 

 苗場山登山口までとても良い林道だったけれど結構な距離が有り、予想以上に時間を費やしてしまった。

未だ、釣りをする目途が立っていないまま、すでに3時を回っている。

少し焦ってきた。

取り敢えず、国道の終点であり、雑魚川の始まりである切明温泉まで行こう。

 

 4時前に中津川と雑魚川の合流点に到着。

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手前の左から来るのが中津川。奥から来るのが雑魚川。

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中津川の畔で記念撮影。

 

なんと ここでだ、遠くで雷鳴がする!

雨雲レーダーを見ると局地的に強い雨が来そうだ!

残り時間と雨雲の状況からして、ここでロッドを継ぐ気にはなれない。仕方がない、今日はここで終了し、明日は朝一から雑魚川に行くことを決めた。

切明温泉で明日の遊漁券を購入し、濡れる前に宿ののれんをくぐることができた。

 

⑤イブニングで尺岩魚を釣り上げ、上機嫌で温泉に入ってからの生ビール。

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 釣りはできず、尺岩魚は無かったが、その他はほぼ計画通り。

外は雨。明日は大丈夫かなぁ~?

 

秋山郷(国道405号)終点から長野県志賀方面に抜ける雑魚川林道を走り、雑魚川渓谷を目指す。

 朝一番に朝食を摂ったら直ぐ出発するつもりだったけれど雨音で目が覚めた。

結構な降り方をしている。また雨雲レーダーをチェック。

9時まで待てば雨雲は通過すると読んだ。

9時、やっぱり西の空が明るくなり始める。

まだ霧雨が残るがもう我慢の限界。雨具を着ないまま出発。

取り敢えず、昨日の終了地点(雑魚川合流地点)に到着。

水量、水色共に昨日と変化は無い。一安心。

 

 今までの経験上、初めての川は入渓ポイントを探すのに奔走してしまい、まともな釣りが出来ない事が多いので、釣りの制限時間(正午まで)を考慮すると、取り敢えずここ(合流地点)から入り、先ずは気持ちを落ち着かせることが最良と判断した。

雑魚川を知る人からすれば、「そんな場所から入るの」と言われると思うが、それでも奔走するばかりで後悔するよりましだ。

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 この渓で先ず思ったのは、岩石の種類が多いこと。

色々な形、色調が混在していて河原がモザイクの様。(ちょっと言い過ぎかも)

 

 水量は少ないが水の感じはとてもいい。

ここぞというポイントでは必ず反応があった。

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アベレージサイズの岩魚。

ここは放流がされていないため、全て自然繁殖した天然魚だそうだ。

時間を忘れてフライに集中する。

どのポイントも油断できない。必ず魚が付いている。

この魚で終了! と思いつつ、リリースして立ち上がり上流を見るとまた魅力的なポイントがすぐそこに見える。

ここで最後!・・・ またここで最後・・・

どこまで行っても終わりのない魅力的な渓に身体が吸い込まれて行く・・・

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 気が付くと制限時間を1時間半超過している。

もう帰らなければ。

 

 入渓地点まで戻り遅い昼食。

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 手早く釣り具を収納し、雑魚川の核心部へバイクを走らせる。

再びロッドを継ぐ時間が残されていない事は分っていた。

せめて次回来た時の入渓地点をチェックしておきたい。

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 「秘境」とされる所があちらこちらに存在するが、ここは正に秘境と言える自然が有った。

森の匂い、植物の色、密度、勢い がその他の場所とは違っている。

やっぱり、ここで川に入りたかったな。

必ずまた来ると決めて、雑魚川の核心部で釣りをすることなく、カヤノ平で林道を降りた。

 

 

飯山からの帰路

 カヤノ平から一気に山を下り木島平村に入る。

標高を落とす毎に顔面に受ける風圧が熱くなる。

徐々に現実に引き戻される。

飯山を通過し、国道292号へ。

ここで大変な事態発生した。

ここまで快調だった我がシルクロード、トンネルでヘッドライトが点灯していない。

ハイ、ロービーム共に点かない!

これは大変だ。バルブ切れなら日が暮れる前に何処かのカー用品店やホームセンターでバルブだけ購入して自分で交換できるが、ヒュースが切れている。

予備のヒューズに交換し、スイッチオン!

良かったぁ~! 点いた!

念のたハイビームオン! 一瞬でまた切れた。呆然・・・

非常にやばい。電気系統のトラブルだ。

直ぐには原因は判らない。

 

 日暮れまであと2時間半ある。普通のバイクなら高速道路で新潟まで帰れるが、シルクロードでは無理。

さあ、どうする。

直ぐにもう一泊の宿を探して日暮までに飛び込む?(でも明日13日はバイク屋は全て休み)

或いは、日暮れまで走ってJAFのお世話になる?

走行中に色々なパターンが頭を過るが、取り敢えずは出来るだけ大きな町=上越市に行こう。

上越市に入る。そういえば全国に展開している大型バイク店が有ったはずだ。

ここで何とか応急処置をしてもらい、今日中に何とか新潟に帰りたい。

今までになくアクセルを大きく開く。

なんとか明るいうちにバイク店に入ることができた。

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 原因はやっぱり不明。バイク店でもヒューズを2本飛ばしたとのこと。

でも、取り敢えずロービームの点けっぱなしで、念のためエンジンも掛けっぱなしであればライトは点いている。

これで、今日は帰ります。(休憩無しで)

 

 日はどっぷり暮れていた。

新潟へ帰る国道116号の燕市付近で大粒の雨。

雨具を着込むタイミングは既に逸してしまっているが、一応エンジンを止めずに濡れた状態で雨具を着る。

大粒の雨がライトに当り、細かいしぶきとなる。

ヘルメットのシールドの内側に水が浸入して前が見えない。

雨具の中が蒸れて気持ち悪い。

慎重に走行するシルクロードを車がしぶきを上げながら追い越す。

 

 高校生の頃、自分の力(バイク)で遠くに行けることが楽しく、しょっちゅう帰りが夜遅くなっていた時の事を思い出した。

バイクにまたがっている私は高校生の頃と何も変わっていない事も一緒に。